永遠の渚

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 気がつくと、私は独りぼっちで海辺にいた。 青い空はどこまでも高く、雲ひとつ見当たらない。 穏やかな波が絶えることなく打ち寄せ、真っ白な砂浜が永遠に続いている。 私はしゃがむと指で砂をつまみ、さらさらと落とした。 まるで砂時計のように繊細な粒だ。 立ち上がって波打ち際まで走る。 こんなに身体が軽いのは本当に久しぶり。 白く泡立つ波にそおっと素足を沈めてみる。 ひたひたとまとわりつく海水は、透き通ってひんやり冷たい。 「ねえ、お姉ちゃん」 後ろから少年の声が聞こえたので振り向いた。 誰もいなかったはずなのに。 小学生くらいの歳の、かわいらしい男の子が立っている。 その子はにっこり微笑むと、私に告げた。 「君の心臓が止まるまで、あと5分だよ」
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