エピソード02 「100円分のお仕事」

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(おれ)にも千寿(せんじゅ)せんべい(すす)めたりしいひんのや?」  兄やんは(するど)い目つきで(おれ)の手元を見た。(おれ)がまだ食いかけの千寿(せんじゅ)せんべいを持ってたからや。 「もうないもん。最後の一個やったんや」 「この事務所、客に茶菓子(ちゃがし)も出えへんのどすか。世知辛(せちがら)いなぁ」  怜司(れいじ)兄やんの京都成分が。  しょうがないんで、俺の食いさしの千寿(せんじゅ)せんべいを半分やった。 「そのnoteで何があったんや」  (おれ)は自分でいれてた緑茶を飲んだ。 「作者の友達のしまもさんが、noteどんなもんやろってサポート機能をいじってはったときに、ついうっかり作者をサポートしてもうたんや」 「手がすべったんか⁉︎」 「そうや。手がすべったんや!」  (おれ)唖然(あぜん)として、冷えた茶を飲んだ。 「え? それで?」 「それで作者に100円送られてきたさかいにな、俺らその100円分なんか仕事せなあかんのや。しまもさんが作者に、100円やし、もう返さんと持っといてって言わはるんやけど、そんなん申し訳(もうしわけ)あれへんやん? ほんで、働いて返そかなって思うたらしいんやわ」 「まさかこれが……?」 「どうしよう、(おれ)ちょっと()ごうかな?」  真顔で湊川(みなとがわ)怜司(れいじ)は言うてた。 「え? 100円で?」
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