1.竹川和生

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その日の夜、僕はを思い出して眠れなかった。 ·····頭は良かったが、世間知らずにも程があった。 ·····下品な話で盛り上がる奴もいる中で、1人だけ全くついていけないな子だった。 ·····お母さんと仲が良くて、反抗期が無い····· 今いたら、どこで何をしていたのだろうか。 「どうして·····」 背が高くて細くて色白で、髪は黒の直毛、吸い込まれそうなくらいに澄んだ暗い色の瞳、無邪気な笑顔。 今思い出しても儚い見た目だった。 美人だったな。 モテるのに自覚は無く、自己肯定感は低い方だった。 ·····色々なことを思い出してしまう。 彼は文字通りのだ。 誰にも手が届かない、この先何年も経たないと再会出来ないに。 ― 高校2年生の最後の試験の日、彼は学校に来なかった。 というか、来れなかった。 その日の朝早くに病院に運ばれ、日付が変わって太陽が昇る前に····· 丁度17歳になった日だった。 実質、彼は誕生日を迎える前に。 ― 「·····はぁ」 涙が溢れてきた。 僕は元々泣き虫だが、ハタチを過ぎてから泣くのは初めてかもしれない。 ·····もしかしたら、生まれ変わりで黒猫になって、それで僕に会いに来てくれたのかな····· だとしたら、嬉しいなあ。 「·····ありがとう」
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