掌のパウダー

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 朝の光で目が覚めた。  開け放たれた窓から吹き込む風が当たるだけで、体の内側から湧き上がる気持ち悪さを感じた。  そばには僕と同じように床で眠るお客様がいる。どうやらあのまま僕たちは眠っていたらしい。  酷い頭痛を感じながら起き上がると、さらさらと何かが洋服から床に溢れ落ちていった。 「星川さん…?」  何が起こっていたのかは定かではないが、見渡すと床一面に微細な白い砂が薄く積もっている。 「お客様、申し訳ありません。僕、いつの間にか眠ってしまっていたようで…」  窓から入り込む風が部屋中の白い砂を巻き上げる。僕はこの状況が非常にまずいことであるのは分かるが、現実味が無さすぎて具体的に何をどうすればいいのか見当がつかなかった。 「いいの、これはいつものことだから気にしないで。今日は少し酷いけど…。それより星川さんは大丈夫?お水を飲んだ方がいいわ」  お客様に差し出された水を一気に飲み干すと、乾いた身体の隅まで脈々と水分が行き渡るのを感じた。やけに大きな鼓動を感じていた左胸も、萎むように落ち着いていった。  僕は持ってきたボックスを片付け、御礼だけ伝えると、ほとんど逃げるようにお客様の部屋を後にした。
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