第3話 告白

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駅に着くと、見知らぬアイドルの宣伝ポスターが、駅の柱に貼られていた。そのアイドルグループの名は«Magic☆Windows»というらしい。 広告にはグループのメンバーの花咲メイの水着姿が。他の柱の広告を見ても同じアイドルグループのポスターが貼られていた。 それを見た優愛は陸斗に聞いてみる。 「陸斗くんの世界線にはこのアイドルたちは存在してるの?」 「いや、恐らく彼らは未知なる世界線から来たのだろう。俺も見たことないや」 「そうなんだ」 陸斗と優愛が人混みに飲まれながら辿り着いた先はゲームセンターだった。 クレーンゲームの中にはMagic☆Windowsのメンバーを模したフィギュアや抱き枕などがあり、それらを見るに、メンバーにはそれぞれ個々の担当カラーがあるらしい。 優愛はクレーンゲームの中に設置された紹介を読む。 「まじっくううぃんどうず、水色担当、小石川ユメちゃんか! 可愛い!」 「これに挑戦するか」 「一緒にやろう!」 ボタンの上に、陸斗の手がのり、その上に優愛の手が重なる。優愛は陸斗の手の温もりを感じながら、ゲームを一緒に始めた。 「此処で押すよ」 「うん」 クレーンがフィギュアの入った箱を掴んだ。 「次、左ね」 「うん」 クレーンが左へ動く。 しかし、簡単にはフィギュアは落ちない。 優愛が100円玉を入れる。 「もう1回やろう」 「そうだな」 最初と同じように、また2人一緒に同じクレーンゲームにチャレンジ。今度は見事にGETした。 ゲームセンター内にあった、クレーンゲーム専用の大きめのビニールのバックに、GETしたフィギュアの箱を入れると、次のゲームへ。 「俺、ホッケーゲームやりたい」 「やろやろ!」 2人が次に選んだゲームは、エアホッケーだった。 最初に円盤を滑らせたのは優愛だった。滑走してくる円盤を陸斗が跳ね返す。 あっという間に優愛が負けてしまった。 「陸斗くん、ホッケーゲーム得意なの?」 「まぁね。ゲーセンの中で一番好きなゲームかな」 「そうなんだ?! だから強いんだね〜」 第2回戦をしようとした2人だったが、他の客が待っていたので、エアホッケーを中断し、外に出る。 外はぽつぽつと雨が降り始めており、傘を差している人がちらほら。 陸斗がコンビニで傘を買い、2人は相合傘で、秘密基地のある公園へ戻ってきた。 優愛は陸斗が自分のもと居た世界線へ帰るまで見送ると、自身も秘密基地に入ってレバーを押して自分のもと居た世界線へ帰っていく。 その2人のことを、公園内の緑地ゾーンの陰で何者かが覗いていた。
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