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終わりの始まり
「ハァ…ッ…ハァ…ハァ…ッハァ…ハァ……」
男は片足をズルズルと引き摺りながら、森の中を歩いていた。
男、といっても彼は人間ではないので、性別は無いといえるが、彼が人間に化ける時は男の姿であり、声も低いほうなので、ここでは彼を男、もとい彼と表現しよう。
男の名は『ガレオン』と言う。名字はない。彼は今、満身創痍である。身体中は矢や銃弾で撃たれ、その傷口から赤黒い血を流している。矢と銃弾を無理矢理身体から引き抜いたり、取り出したりもしたから、さらに出血は増している。銃弾と矢に込められた毒で非常に気分も悪く、口から血反吐をだらだらと垂れ流している。右腕と左脚、肋をいくつか骨折していた。背中に生える4枚の黒い翼も穴だらけであった。
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