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相変わらず、今夜も寝苦しい。
しんぼうたまらん! と飛び起きると、窓を開けてベランダに出た。
無風のなまぬるーい空気がむぅあ~。「外なんだから風くらい吹きやがれ…」とモノローグで悪態をつくと、俺はため息をつきながら床にねっころがった。
まぁ、それでも、俺はまだラッキーな方なんだよな。
なぜなら俺の部屋は、この寮の最上階にあるからだ。
最上階のベランダには天井がない。だって上の階がないからな。
つまりはベランダに出れば、満点の星空を独り占めできるってことだ! この解放感っ!
…まぁ、ベランダつける余裕あるならクーラー付けてくれ、って話だけどな…。
それでも、全寮制の男子高校に通ってる俺たち。全校生徒数は三百人ほど。
三百人中の十数人に選ばれたんだから、ラッキーって言えないこともないだろ。
今日はカラッカラのいい天気だったから、夜空も雲ひとつなくてキレイだ。
硝子を無数にまき散らしたような星空と、クッキーみたいな三日月がうかんでいる。
あ~…星きれぇ。
「起きてんのー?」
そこへルームメイトの平古(ひらこ)の声が聞こえた。
「んぁー。くっそ暑くて眠れねぇんだよ」
平古もベランダに出てきて、俺の隣に座ってぼやいた。
「ほんと、あっちぃよなー」
「だよなー」
二人でだらっとしたTシャツとハーパンを着て、だらっと生ぬるいベランダの床に座って、ぼけらっと星空を見上げていた。
あのごちゃごちゃしている星のかたまりは―――天の川ですか。川―――川―――あーん泳ぎに行きてぇええ。
とその時、川の真ん中がキラリと光った。
なんだ?
と思ったら、光は一筋の線になって、川を猛スピードで逆流してパッと消えた。
「あーながれぼしー」
そういや、何日か前から、なんだか流星群が見えるんだっけか。
なんて考えているうちに、また川の一角でキラリ、と光が流れた。
「ああああっと、トナリのガッコのレナりゃんと両想いになれますよーに! レナちゃんと両…!」
どっからか声が聞こえてきた。
別の部屋のヤツが、流れ星にお願いごとをしているらしい。
どこのオトメだよ…。と思ったら、またキラリ。
「この前の大会で仲良くなったミカちゃんと両想いになれます…あー!!」
今度はちがう方向から声が。みんなセイシュンしてるねぇ。
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