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時計の針は15時45分、後どれぐらいかかるだろう?
「アキ、いる? マユが後30分くらい待ってって」
放課後の教室、恋人の部活ミーティング終りを待っていたオレの元に伝言を携えて来たのは。
彼女の親友であり、オレの中学からの友達、里依。
「里依のが先に終わったの?」
「そ、マユはホラ次期部長だからさ、最後まで残らないとなの」
「さっすがマユ! できるねえ」
ニヤリと笑ったオレに、里依は冷ややかな視線。
「やだやだ、彼女自慢! 鼻の下伸びてるっつうの! 大体アキなんてマユに告白されてから好きになったくせに」
うっと言葉に詰まるのは図星だからだ。
マユはうちのクラスの高根の花。
頭もいいし顔は美人だしスタイルだっていい、ただ人見知りのせいか友達が少なかった。
里依がマユと仲良くなって、そこからオレとも話すようになって、そんなある日マユの方から告白されたのだ。
その時のオレの心境ときたら。
16年間生きてきた中で一番幸せなんじゃないかってぐらいに呆けて、それから。
「よろしくお願いしますっ!!」って。
うん、二つ返事でOKしたよね、めちゃくちゃ嬉しかったんだから。
「アキは押されれば誰にでもなびくんじゃないの?」
呆れたような里依のそれにはすぐに反論した。
「誰にでもってわけじゃねえよ、マユのことはいいな、とは思ってたんだし」
今はもう多分オレの方がマユに惚れてる。
可愛いんだ、本当に。
手を繋ぐだけでも真っ赤になるから、それ以上何もできないくらい。
まあまだ付き合って半月だし、うん、この先はゆっくりと大事にしていきたくて。
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