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「全部飲むから手伝え」
「えー…、自分でがんばってよ」
硝子の器に残る灰色の水を見て、顔をしかめて口に含んだ。
「…っ!?」
液体が高虎の喉を通っても「さくら」の後頭部の髪をつかんだまま放さなかった。
しばらく抵抗して暴れていたがやがて動かなくなった。
「お前は誰の手のものだ?」
「…‥」
高虎の肩に額をつけて「さくら」はぐったりして倒れた。
戦場で戦う武将の力に、子どもがかなうわけがない。
教養が高い「話がわかる」人物と言われても高虎も時代の子だった。
「…ボクは…」
うっすら目を開けて、髪をつかんでいない自由なほうの腕の、指のない所を八重歯で噛んだ。
小さな声で何かを言おうとした「さくら」の着ているものをすべてはがした。
「せめてこっちの役にはたてよ、小僧」
抵抗しないのが答えだと勝手に解釈して白い体に足りない指の甲を滑らせるとしっとり濡れた声を漏らして目を閉じた。
小僧、自分の言葉でもしかしたら僧籍があるのかと思いついた。
なら体にはしっかり衆道のそれが仕込まれているかもしれない。
「‥ぁ…‥」
女のような反応に自分の考えを確信した。
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