桜のみち

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「昔、あなたもお仕えしていた殿から聞いた話がありまして。あのお方も元は神職の家でしたからそのあたりは詳しかったので」 高虎の頭にずき、と痛みが走る。 「まだ私が人質の頃に聞いた話ですが、術者が人形に命を吹き込んでまるで人間のように使役して人物がいたということがあったとか。そこまではまあ、本でも読んだことがありますが続きがありまして」 「続き…」 「その術を完成させるのは呪、呪いをかけて完成するそうです」 「呪いですか」 柔らかい笑顔で話されるので怖さはないが、考えてみると恐ろしい話だ。 誰かが自分に呪いをかけているのだろうか。 仕える殿を何度も裏切ってきた。恨まれるおぼえがありすぎてわからない。 「それは名前をつける事だそうですよ」 高虎は深い考えはなかったが便宜上呼び名をつけた。 外の明るさに照らされて笑みに影が出来てさらに笑顔が深くなった気がした。 自分の創造主である術者を失って何百年もさまよっていたのだろうか。 「桜」という呪いを、あいつにかけてしまった。
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