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桜のみち
「さくら」は桜の漢字を当てよう。
櫻では子どもには仰々しい。どうせ元服したら改名する。
勝手に名付けた桜を抱きながらそんな事を考えていた。
「あ…ぁ‥…ん」
胸の突起への刺激に弱いなのか、そこを攻めると体をくねらす。
「どこがいいの?」
意地悪く聞くと弱々しく首を横に振る。
「無防備に大人に近づくからだ」
桜は何もしなくても男を受け入れるような体になっている。
どこかの武将の小姓でもやっていたのか寺にでもいたのかと不思議に思ったが、こんな古風な子ども、今どき存在するのか。
男を抱くのもこの時代の嗜み、大坂の天下どのが男より女を好むのを下賤な出自とまわりは笑っている。
ふとももをつかんでゆっくり自身を差し込んでいくと桜は眉間に皺を寄せた。
「ぃ…大き‥痛い…‥虎…‥ぁ‥」
逃げようとする体を掴んで根本まで入れると、桜はかすかに吐息を漏らした。
こんな子どもには酷か、そう思うと逆に心に火がつく。
まるで戦場での異常な高揚感がよみがえるようだった。
「ああっ‥」
「馬鹿、声が大きい」
今まで袖に隠れて見えなかった桜の爪が黒く彩られているのが見えた。
最近は爪を黒くするのが都の雅なのだろうか。
「さっさと自分の主人の名前を吐いたほうが楽になるぞ」
手加減しつつ深く差し込んで、桜の喉元まで顔を近づけて問い詰める。
「…ボ‥クは…‥」
薄く開いているその目はもうまともな意識を表していなかった。
桜は黒い爪の指を、高虎の指のない手に伸ばして甘噛する。
足りないものを補う儀式のような不思議な行動だった。
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