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「おはようございます」 「おぉ、八重田。悪いんだけどさ、これコピーとっといてくんない?」  軽く挨拶しながらフロアに入ると数多く並ぶデスクの一席から乱暴に声をかけられた。  一人の男性が一般的な書類の2倍の大きさ、A3で少なくとも200枚はありそうな束を片手で持ちながら悪びれる様子もなく私を見る。 「えぇ? 嫌ですよ。それに私、今は設計じゃないですし」  なるべく柔らかい口調になるよう心がけながら返事をしつつ自分の席に向かう。 「マジかよ。冷てぇやつだな。木戸、やっといてくれる? 2部」 (最初から木戸ちゃんに頼めばいいのに) 「おはようございます」  自分の席に着くと右横のいわゆるお誕生日席に座る飛鳥さんに挨拶をした。 「おはよう」  年相応に落ち着いた男性の柔らかい声。私の向かいに座る男性、山口さんにも一応挨拶をする。  マイボトルをデスクに置きパソコンを起動すると、飛鳥さんが私の様子を伺いながら控えめに話しかけてきた。 「早速で申し訳ないんだけど、今日の会議の資料5部追加で準備しておいてくれるかな」 (この気遣いが本当に好き) 「はい、わかりました」
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