出会い

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カツっカツっカツっ……… 自分の靴底から軽快な足音が辺りへと響きわたる。普段よりやけに大きく響いて聞こえるのは、恐らく都心から離れたこの場所柄もあるのだろう。 辺りにはいくつもの大きな鉄の塊が乱雑に置かれ、青い色をしたシートに覆われている。その表面にはうっすらと膜を張るようにして、埃が溜まっていた。 「ふぅー。」 と大きく息を吸い込むと、錆びれた鉄の匂いと一緒に潮の独特な香りが鼻腔を刺激する。 ここは何年か前まで使われていた工場で、ある事件がきっかけで最近取り壊しが決定したらしい。 今回はそのある事件を調べて欲しいという依頼を受けたのだが… 「誰だ…!」 僕は瞬間的に近くにあった柱へと姿を隠し、腰にある拳銃を引き抜いた。仕事柄いつも用心用に持ち歩いているのだ。 『100m…いや、200mか…。』 一瞬にして、目視で相手との距離をはかる。真昼だと言うのに、工場という場所が幸いしてか、辺りは薄暗く、目を向けた先は暗闇と化している。 『どこにいる…?』 相手の姿が見えぬまま、拮抗した空気が続く。 油断を許さない、雰囲気に思わず息を呑んだ。 その刹那、 「いやいやー、さすがは天才科学者探偵風隼薫だねぇー。」 突然暗闇の中から人影が姿を現した。 その影は喋りながら、僕の方へと歩いてきた。
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