存在証明のパラドックス

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   どうなっている?   過呼吸(かこきゅう)ぎみに辺りを見渡す。   血塗(ちぬ)られた車両内。   無機質(むきしつ)(いろど)られた死の(おり)。 現実感を(ともな)わない状況を俯瞰(ふかん)するだけで、 思考(しこう)が追い付かない。   場を包む死の気配(けはい)(ただよ)腐敗臭(ふはいしゅう)がいやがおうにも現実を実感させる。   ここはどこだ? 状況を把握(はあく)しようと記憶を探るが、 自分の名前さえ思い出せない。 ただ解るのは、リアルに響いてくる振動音。 (よど)んで()り付く空気にむせかえる臭気。 五感(その)の全てが、 これがセットや作り物ではなく現実だと、 本物(リアル)だと()げていた。   死の車両。 そこに自分は存在(そんざい)しているのだと。 僕が目覚めて最初に感じたのは恐怖。 果てしない恐怖の螺旋(らせん)。 その怨嗟(えんさ)螺旋特急(らせんとっきゅう)で僕は目覚めていた。  
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