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ふたりはしばしの静寂ののち、倒れた女に駆け寄った。亜麻色の髪の下の目は固く閉じられていたが、たしかに、微かだが、息はしている。傷の深さを確かめようとヴォーグが女のマントを脱がすと、ほそい体が現れ胸と背があらわになった。
「ほんとうに女なのか……」
「いや、ヴォーグ……それより背中の傷を見ろ、膿んでいる。この女は病に罹っている」
ヴォーグは思わず飛び退いた。それを見てセヲォンが静かに言った。
「とにかく、俺たちの作戦は終わりだ。こいつを王宮に連れ帰ろう、丁重にな。何かを知っているかもしれぬ」
ヴォーグはやや顔を青ざめながら、無言で頷いた。
宿屋の穴の開いた天井から夜風がすうーっ、と吹き込み3人を包みこむ。
静かに女の亜麻色の髪が床を撫でた。
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