5HOOPS

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 ──倉野高校を撃破した福岡第五高校は、そのまま大会を駆け上がり、ついに頂点まで登り詰めた。  この5年後、福岡第五の三星、市瀬、如月の三人は日本代表に名を連ね、オリンピックで日本の快進撃を支えることとなる。  この年の福岡第五高校は、高校バスケ史上最強校として永遠に語り継がれる。  コートでは優勝インタビューが行われていた。 『それでは、優勝した福岡第五高校キャプテンの三星くんにお話を伺いましょう。三星キャプテン、この大会、全く相手を寄せ付けない圧倒的な強さでした。終わってみて、いかがですか?』  スタンドでは深緑色のタオルが振られている。大歓声の中、三星が口を開いた。 「ありがとうございます。でも、僕たちは圧倒的ではなかった。どの高校も強かったです。その中でも、一回戦の倉野高校さんとの試合。あの第4クオーターを経験しなかったら、僕たちはこの大会で優勝できなかったと思っています。僕たちは最後の5分間で、諦めない気持ち、ひたむきさ、そして、バスケの楽しさ、そういったものを学びました」  三星はTVカメラを見た。画面の向こうにメッセージを送るように、小さく微笑んだ。  田中、小林、渡辺、佐藤、村上の五人はTVでこのインタビューを観ていた。 「「「「「褒められた」」」」」  そう言って、五人は顔を見合わせ子供のように笑った。  13点差の敗退。それが、結果だ。  だが、田舎町からやってきた初出場の倉野高校が、福岡第五高校相手に刻んだ第4クオーターの61点という数字。それは、小さな奇跡としてバスケットボール界の記憶に永遠に刻まれ続ける。 「「「「「じゃ、元気でな」」」」」 了
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