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ボールを受けた三星が足を止めていた。
審判が気付いて試合を止める。
田中が地に伏していた。
「「「「たなやん!」」」」
ごめん。
汗まみれの顔に涙を浮かべ、田中が震えていた。田中の足は、もう生きていなかった。
大きな拍手の中、田中は担架で運ばれていった。
渡辺はジャンプできなかった。
佐藤はもう腕が上がらない。
小林は身体を寄せきれないでいた。
村上はもう、走れない。
五人でやってきた。
一人の力は小さくとも、五人揃えば、百人力だった。
市瀬が、止まったままドリブルしていた。もう、余計な点を取る必要はない。時間が過ぎればいい。そう思った。
そこに、三星の咆哮が響いた。
「止まるな! 走れ! 最期まで戦え。倉野に、敬意を!」
うおおぉぉ!
倉野はついていけない。それでも、三星はこの試合一番速いパスを送った。市瀬が飛ぶ。市瀬は華麗にリングを通した。
如月が信じられない距離から3Pシュートを沈めた。
そして、試合終了のブザーとともに、ガソルの豪快なダンクが叩き込まれた。
福岡第五 117-104 倉野
拍手が鳴り止まなかった。
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