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難しい話はこれでおしまい、とばかりに煙に巻かれたが、彼は私のために相当な無理をしてくれたんだと分かる。
申し訳なさも大きいけど、無条件で私の願いを叶えてくれた透さんに無性に甘えたくてたまらない。
誰かにワガママを聞き入れてもらったのは初めてだ。まるで私だけの王子様のよう。
透さんは私を抱きしめ、背中のファスナーから素肌に手を入れる。
それの感覚に溶けながら、ソファに膝をついて彼の首にしがみついた。
「透さん……本当に、ありがとうございます」
「いいえ」
背中を撫でられ、透さんの腕の中にへなへなと溶けていく。
私の透さん。大好きすぎてどうしよう。
「……沙穂ちゃん。ご褒美くれないかな」
透さんの瞳が揺れ、私を徐々にソファへと倒していく。キスが注がれ、ドレスが肩から脱がされていく。
透さんに触られるのは本当はこっちがご褒美だけど、私は見つめ返してうなずいた。
「はい……」
もう透さんのことしか考えられない。
彼にめちゃくちゃにされながら、私は幸せを噛みしめていた。
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