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世界を狭く感じていたのは、どうやら美砂も同じだったようで。
半年間も不在にしてオトワリゾートはどうするのかと問い詰めたいところだけど、今は好きにしていいんじゃないかなとあきらめた。
だって、一度きりの人生だもの! 美砂のやりたいようにするのが一番!
美砂にはすごく感謝してる。透さんと引き合わせてくれた。それだけで、私は幸せすぎてなんでもワガママを聞いてあげちゃいそう。
私も、少し変わったのかも。
うちの探検を始めた美砂と葵さんを放置して、私はソファの透さんの隣に座った。
彼はいつものように優しく抱き寄せてくれる。
不安なことは、すべて透さんに話すようになった。どんなときも一緒に解決してくれる、私の王子様だ。
「透さん。私、心配なことがあるんですけど」
「ん?」
ドタドタと楽しそうな美砂たちに目をやりながら、コソッと透さんに耳打ちする。
「あのふたりがもし結婚するとなったら。オトワリゾートはどうなるんでしょうか」
これは実は本気の悩みだ。
三鷹ツアーズの跡継ぎである葵さんのお嫁さんになるのなら、美砂はオトワリゾートを離れるだろう。
まだ先の、もしもの話だけど。美砂にはなんのしがらみもない幸せな結婚をしてほしい。今度こそそれが叶ってほしいのに、また問題が起きている気がして。
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