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真面目な顔で透さんに相談すると、彼はフッと笑い、「そんなことか」とつぶやいた。
そんなことって! なにか解決策があるの?
「簡単だ。沙穂がオトワリゾートを継げばいいんだよ」
「……え!?」
予期せぬ提案にのけ反るが、透さんの腕は私を捕らえて離さない。
簡単に言うけど、美砂の役目は将来の旦那さんとともにオトワリゾートを経営すること。
それを代わるってなったら、私だけじゃなくて……。
恐る恐る、透さんを見た。
「そのときは一緒に継ぐさ。大丈夫、沙穂はなにも心配しなくていい。全部俺がなんとかするから」
すべては嘘から始まった。
今では私のすべてを受け止めてくれる、大切な人。
END
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