消せない過ち

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でも相手が東帝大生で、『三鷹ツアーズ』の御曹司だというのなら、少し安心できる。 ステータスで人を選んではいけないけど、お姉ちゃんのバックグラウンドにあるものを欲しがる男性をたくさん見てきた。少なくともその心配はなさそう。 『ボランティアもしてるよ。でもあんなに素敵な人初めてなんだもの……』 流れ星でもあるかのように、うっとりと窓の外を見つめる美砂。 『お話ししてみれば?』 『あんまりチャンスがないんだよね。サークルもボランティアの日だけ来て飲み会は帰っちゃうし、友達作りには興味ないらしくて』 珍しい人だなぁ。美砂に興味を持たないなんて。 『恋愛にも積極的じゃないみたい。まあ、私も気持ちは分かるけどね。ほらお家柄、政略結婚する可能性が高いんだろうし』 なるほど。御曹司・令嬢あるあるだ。 お付き合いして本気になっても、家との兼ね合いでうまくいかなければ相手に苦労を強いてしまう。そもそも親が目星をつけている相手がいるかもしれないし。 若いうちは遊びだと割りきれる人も多い中、真面目で警戒心の強い人は最初から自由恋愛をあきらめている場合がある。 その透さんって人も、そうなのかも。 『仲良くなりたいなぁ……無理なのかなぁ……』 美砂は瞳を潤ませる。 ああもう。勉強に集中したいのに、どうして私はお姉ちゃんの悲しそうな顔にめっぽう弱いんだろう。 『手紙はどう?』 『手紙?』 私は参考書を端によけ、チェストからペーパーアイテムをしまっている箱を出し、さらにそこからレターセットを見つける。 桜のモチーフを選び、姉に手渡した。
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