消せない過ち

12/12
前へ
/153ページ
次へ
でも、こうして奇跡的に再会できた。 このチャンスを逃したら、透さんに罪を償う機会は二度と来ないだろう。 美砂だって透さんに惹かれていた。私がだらだらと手紙で引き延ばさなければ、おそらくうまくいったはず。私は美砂をも裏切ったのだ。 今からでも間に合う。もう邪魔をしないから、ふたりがすれ違わず、想い合えた未来に戻そう。 美砂には池畠さんとの打算的な結婚より、透さんと愛に満ちた結婚をしてほしい。 その方が絶対幸せになれる。 透さんの手紙に綴られた想いをもう一度心に焼きつけてから、宝箱をクローゼットに戻した。 もう道を誤ってはいけない。今は私の婚約者という肩書きになっている透さんは、最後は姉と幸せになるのだ。 たとえ私が、今でも彼を好きだとしても。
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5088人が本棚に入れています
本棚に追加