恋人みたいな時間

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恋人みたいな時間

お見合いから三日後の夜。 透さんからメッセージがきた。母と姉と三人でリビングにいたが、自室へ戻り、緊張しながらスマホを開く。 【こんばんは。また会いたいんだけど、土曜日誘ってもいいかな】 最初から本題が記されたメッセージに、ドキッと胸が鳴った。 この感じ懐かしいな。昔は手紙だったけど、透さんの文章はいつも私の心を揺さぶってくる。 しかし短い文章をジッと読み込むが、誰への誘いなんだかよく分からない。 誘ってもいいかっていうのは、美砂を? 【こんばんは。姉をですか?】 素直に尋ね、返信を待つ。 するとすぐに。 【沙穂ちゃんを】 ひゃあ……! 今度は取り乱してスマホが手の上を跳ねて宙を舞い、ベッドの真ん中に落っこちた。 なんで私? あ、そうかカモフラージュのため? まずはきちんと私の婚約者として振る舞っているのかな。それか、会って作戦会議とか。 私はベッドにうつ伏せになってスマホをたぐり寄せ、深呼吸をして返事を打つ。 【もちろんです。土曜日ですね。どこで会いますか?】 話し合うならどこかのカフェか、人に聞かれたくなければ個室のレストランがいいかな。これは私がオトワホテルを手配すべきだよね。
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