恋人みたいな時間

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前回はフレンチだったから今回は懐石なんてどうだろう、と考えを巡らせていると、さらに返信がきた。 【晴れるみたいだから、花見でも行かない? 車で迎えに行くよ】 ええ!? 文章が送られてくるたびに私はベッドの上でバタバタと動き回る。 お花見!? 車!? スマートな一文を何度も読み返し、間違いではないと確認する。 まるでデートみたいじゃない……? 父や運転手さん以外の男性の車に乗ったことすらないのに、透さんの隣で平常心でいられるだろうか。 一体どんな準備をしていったらいいの? お弁当は? お車代は必要? 【ありがとうございます。でも分からないことだらけで迷惑をかけてしまうのではと心配です。お話なら、またオトワホテルのレストランをとりますが】 控えめに断ってみる。気を悪くするかな。 【え、ダメ? 沙穂ちゃんと一緒に出掛けたい】 なっ……え!? 手がカタカタと震える。なんだかこう、透さんがすごくグイグイきているのは気のせいかな。うれしいって思っちゃいけないのに、体は正直に火照りだす。
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