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じぃちゃんは
嬉しそうに
話しかけてきた。
『純一、バァちゃんの話し、聞いたことあるか?』
あー
母ちゃんの、母ちゃんの事か、
なんか、母ちゃんの小さい時に
事故で亡くなったって聞いてるけど?
じぃちゃんは
『わしの、目の前で、車にはねられた。
車は、そのまま、走って逃げた。
犯人は、未だ、捕まってない』
それは、初めて聞いた。
じぃちゃんが
引き出しの中から
当時の新聞の切り抜きを、数枚、見せてくれた。
50年以上前の記事だ。
19××年2月14日
14:15
◯◯の交差点で
歩行中の女性が
白い車にはねられ
20m以上引きずられ
即死。
白い車は、そのまま東の方向へ走り去った。
そんな記事だった。
バァちゃんの写真も載ってた。
じぃちゃんは、
その記事を何度も読んで
あの時、
わしが、でかけようと
外に連れ出した事を後悔していた。
死んじまったものは仕方ない。
せめて
犯人が捕まってくれたら
それだけを
願ってきた。
当時の警察も
ひき逃げ犯を許すな!と
車の特定に全力を尽くした。
しかし
車は、
乗り捨ててあったが
運転手がいない。
車の持ち主は
コンビニで買い物中だったらしい。
あまりにも不可解な事故だと
じぃちゃんは言った。
『わしは、犯人が捕まるまでは死ねないんじゃ』
まさか、
バァちゃんの事故に、
そんな事実があったとは
知らなかった。
母親自身も、まだ、小さくて
詳しくは、
知らなかったんだと思う。
俺は
じぃちゃんに
『俺、犯人、探してみるから、
この新聞の切り抜きを、一枚、くれないか?』と
じぃちゃんが、たくさんの新聞社の記事を切り抜いていたものの中から
1枚、もらった。
俺には、
秘策があった。
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