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「あの人はあやうく街全体を消そうとしたのにこれで済むと思ってるのかしら?……」
1人になった静かな屋上でポツリと少女は呟いた。
思えばここまで爆弾の起動スイッチを押すのに何の躊躇もしなかった少女である。
そのくらいのことはしてもおかしくはない。
「そろそろ5分か……」
そういうと少女はビルの屋上からフワリと飛び降りた。
少女の体はどういうわけか、重力には従わず地面の方向には向かわなかった。屋上からまっすぐ、ふわりふわりと空を飛ぶ。
気付けば少女の背中に先程まではなかった真っ黒な羽が生えていた。器用にバランスをとり、空を舞う。少女の身体はふわりふわりと闇に消えていく。
少女がビルから離れたとき先程までいたビルの方から大きな爆発音が鳴った。少女がビルの屋上へと向かう時に仕掛けた爆弾が爆発して、ビルは大きな音を立てて崩れ落ちた。
「まあ、街全体爆発させるのに比べたらずっと可愛いものでしょ?」
どこかで少女はそう言った。
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