夜を見渡す爆弾魔

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"ドンッ" 彼が自分の世界に浸っていると突然ビルの屋上のドアを勢いよく開ける音が響いた。 「そこまでよ!」 「誰だ!」 男が慌ててドアの方を見ると、そこには1人の少女が立っていた。 「悪いけどあなたの計画は無に帰させてもらうわ」 そういうと少女は持っていたショルダーバッグを開ける。中にはバッグいっぱいにたくさんの起爆スイッチが入っていた。開けた拍子に数個のスイッチが床に落ち、コトンコトンと音を立てた。 「悪いけどあなたの爆弾の起爆スイッチは全部回収させてもらったから」 「ふふふ、よく見つけたな」 「ええ、私はそういう能力に長けているから」 ふふっと少女は笑い返した。不気味な男の笑い方とは対照的に少女は無邪気に微笑んだ。 ショルダーバッグの中にはペットボトルのキャップほどの大きさのスイッチが大量に入っている。 「だが、それだけか?」 「それだけってどういうこと?」 少女の返答を聞き男は再び高笑いをした。 「起爆スイッチだけ持ってきてどうするのかなぁ? 回収すればボタンは押されず爆弾は爆発しないとでも思ったのかなぁ?」 少女を小馬鹿にして言う。 「その起爆スイッチでしか起動できないようなら、さすがにもっと厳重にスイッチを隠すよ。でも残念ながらこの爆弾は時間が来ると勝手に爆発するんだ。そんななんの役にも立たないスイッチ持ってどうするのかなぁ?……どうやって君はこの街を守るのかなぁ?」 男の嫌味な高笑いは続いた。
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