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その発言も、行為も、紳士的ではあったけれど、こうと決めたら譲らないような、頑固そうな気配も感じた。
もちろん、そんな強引な誘い、無視しようと思えばそれで済むことだ。
神楽さんだって、冗談でああ言っただけで、時間がくればドライブを終えてわたしを駅まで送り届けてくれるのだろう。
でも、わたしは、さっき先輩と会ってしまったことでよみがえってきた痛みがヒリヒリしていて、このまま、何もなかったかのように振る舞うのは、ちょっとしんどいなと思いはじめていた。
しかも、車なんてほとんど密室で。
高速に乗ったのだから、あと数十分、下手したら一時間ほどわたしと神楽さん二人きりの空間で、思い出したばかりの痛みを無視して穏やかでいなければならないなんて……
……べつに隠すほどのことでもないか。
この神楽さんとも、今後もう会うこともないんだろうし………
神楽さんと会うのはこれっきりだと思ったわたしは、今まで誰にも話せなかったことを打ち明けても害はないだろうと、わりと短い時間で気持ちが切り替わったのだった。
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