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それでもアイツはふてくされたり落ち込んだりせず、みんなのアドバイスに感謝しながら謙虚に耳を傾け、すぐに改善し更に腕を上げた。
それだけに留まらず、アイツはみんなのミスやエラーをさりげなくフォローして、それを恩に着せたりもしないイイ奴だった。
だから尚のこと、癪に障ったんだよな。
――コイツがイヤな奴なら、思い切り軽蔑してやる事ができたのに!――
って。
しばらくしてアイツが姿を消したときは、目の上のたんこぶの腫れがすっかり引いたみたいで、お前せいせいしたろ。
もう、劣等感に苦しまずに済むんだからなあ。アイツが目障りだったんだろう?
頭の中を占める、アイツという存在の割合が少しずつ小さくなって、みんなと楽しくどんぐりの背比べをしていた頃、突然飛び込んできた忌まわしい報せ。
アイツが小さな成功を収めたっていう報せを受けたとき、お前は目の前が真っ暗になった。
次にお前を襲ったのは、激しい怒り。
「あんなの全然大した事ない!」
ってムキになって否定してたな。
お前はまだ何の成功も収めちゃいないから、負け犬の遠吠えだ。
「ふーん、別に大した事じゃないだろ」
って必死に平静装ってる奴もいたっけ。
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