一人の時、聞こえる囁き

1/7
前へ
/8ページ
次へ

一人の時、聞こえる囁き

 お前、アイツ嫌いだよな?  だってアイツは今やもう、手の届かない所にいるからなあ。  逆立ちしたって(かな)いっこないもんな。  お前とつるんでる奴らもみんな、アイツの足元にも及ばないだろ?  そーんな怖い顔すんなよぅ。  アイツが流れ星のようにきらきらしながら現れたとき――――。  覚えてるだろ? 強烈な印象だったよな。  端整でスタイリッシュで、隠しようのない育ちの良さが匂い立ってて、それでいて気取ってなくて、ウィットに富んだトークで人を愉しませる事ができて……。  だけどみんなで、 「お前さ、ここがダメなんだよ」 「あー、ここもダメだな」  なんてダメ出ししながら、ちょっとイイ気分だったよな。 ――才能があるからって調子には乗らせねーぞ――  って牽制しときたかったんだよな?
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加