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この光景はテレビとかで見たことがあったけど、それがすぐ目の前で起こってるのが信じられない。
悠人が、私の親に頭を下げている。
『…月城さん。頭を上げて下さい。うちは、小さな和菓子屋です。あなたみたいな人気の美容院を経営されている方に穂乃果はふさわしい娘なのか…』
お父さんはそう言って、一呼吸おいてから、また話し始めた。
『ですが私たち夫婦にとっては、かけがえのない、たった1人の大事な娘です。結婚するなら…必ず、どんなことがあっても、幸せになってもらわないと困るんです。こんな言い方をして申し訳ないですが、絶対に娘を泣かさないと、約束して下さい』
『お父さん…』
私は、その言葉が深く心に響いた。
こんなにも私は大切に思われてたんだ…
『はい。もちろん、どんなことがあっても、穂乃果さんを泣かせたりしません。ですので、心配なさらないで下さい』
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