恋のゆくえしれず

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 私は一通り辺りを見回してから左の方へ向きを変え、片隅の休憩所まで歩いて行き、日に褪せくたびれたこういう(とこ)にはよくある水色のプラスチックのベンチに腰を降ろした。  私は煙草を()いながらしばらくぼーっとしていた。ここだけは街から隔絶された別天地のようだ。実に(しず)かなものである。かたわらを三毛猫がゆっくりと歩いていった。
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