0人が本棚に入れています
本棚に追加
9
首都圏の西南部のはずれの現離市には鄙びた歓楽街がある。中心区の巨大なアミューズメント・ゾーンとはまた別の場末の盛り場である。それでもちょっとしたものではあり、パープルやイエローあるいはショッキング・ピンクだの蛍光色のオレンジだのといった毒々しい色彩の昆虫や原始植物や女体の形をしたネオン・サインで満ち溢れている。
私はパチンコでさんざん遊び、それでもちょい負けぐらいという結果にそこそこ満足を感じながらも、どこか手負いの野良犬のしっぽのような影を引き摺ってふらふらと店のドアから外へ出た。
最初のコメントを投稿しよう!