恋のゆくえしれず

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 だが、それも束の間の夢だったのだ。ある日彼女は私にこう言い放った。 「もう電話してこないでほしい」  そして彼女は蓮っ葉にちゃらちゃらした革ジャンやジーンズの男達とビールを飲みながらケラケラ笑っていた。  (うるわ)しの調べはカラオケとなり、私はしょぼくれた事務机の前の一職員に戻り、暑苦しい路線バスの乗客達も私を指さして嘲笑し、しけた部屋の万年床の中に私は潜り込むしかなかった。
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