恋のゆくえしれず

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          3  ──山奥の古い空き農家に私は身を潜めていた。遠くから私を探して山狩りをしている村人達の声が時折聴こえてくる。私は暗がりの中で小さく身を丸めて息を殺し、それをやり過ごそうとしている。しかし、村人達は放って置いてはくれない。どこからか焦臭(きなくさ)いにおいが漂ってくる。パチパチという音がし始める。やがて私の周りにいがらっぽい乾いた煙が立ち()めてくる。ついには(あか)い炎が私のそばの壁板の外にも廊下の向こうにも揺らめき始める。村人達は私を焼き討ちしようと農家に火を放ったのだ。もう私にはどこにも逃げ場はない。ただなす(すべ)もなく燃え盛る炎の中でうろたえるばかりだった。  おどろおどろしい紅蓮(ぐれん)の光の渦巻きが迫り来る(さま)を私は見た。  ……ああ、地獄の炎とはこういうものなのだろうか……──
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