Epilog

2/2
前へ
/11ページ
次へ
今までも、昴は50年ほど経っているのだ、と思っていたはずだが、実際はスコルピアを発って、すでに150年経過している。 安全に船を航行することが『EVE』の仕事だ。ただ、100年を超えた辺りで、人はどうするのかを見たくなった。 だって、この船に乗っている人達は、皆、何かをしながら、実験、とかいうのをしているでしょう? 安全な航行の範囲ならば、船に危険が及ばなければ、 何をしても、構わないわよね? 毎日、昴が真珠の顔を見に行くのに、理由が分からなかった。 その必要性が分からない。 だから、姿を作り出した。 そうしたら、昴は自分を見てくれたのだ。 そして、優しい声で「衣舞」と呼んでくれて、触れられないことは、残念そうだったけれど、一緒に何かをする、ということがとても嬉しそうで、衣舞も嬉しかった、ような気がする。 だから、昴に寿命が来たことは、本当に残念だけれど、仕方ない。 ヒトとはそういう存在だ。 それでも、今回の事でホログラムはとても有効なのだということが分かった。 『え…っと、次のカプセルは…』 ホログラムで女性の姿になった衣舞は、カプセルの並んでいる部屋をゆっくりと歩く。 倦んでしまいそうな長い時を、まだまだ旅しなければならないのだから…。       【 END 】
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

243人が本棚に入れています
本棚に追加