Epilog

1/2
前へ
/11ページ
次へ

Epilog

長い間、旅をして、衣舞はいろんな人と生活を共にし、いろんな人生を見た。 中には、目覚めたパートナー同士が、どうにも気が合わなかったり、気が触れてしまったようなケースもある。 あの時、パートナーは、気が合わないとダメなんだと分かった。 決められていた組み合わせと、違うパートナーを目覚めさせてみたのだ。 しかし、それはあまり良い結果にはならない、と衣舞は学んだ。 今回は、…とても有益で、人の感情というものをより多く学べた。 ──人は、1人では生きられないかもしれない。 そんな仮説は確かに立てていたけれど、それが、証明されたから。 衣舞の出現前と後とでは、昴の生きる力は、明らかに違った。 本当は、触れることが出来たら、良かったのだろうが、それは衣舞には無理だ。 それでも、タブレットの画面だけではなく、ホログラムの方が、昴との生活はより良いものになったのだ。 目を閉じている昴のカプセルと、目を閉じている真珠のカプセルを衣舞は見ていた。 こうしていたら、どちらも変わらないように見えるのだけれど。 『EVE』はそれを宇宙船の外に放出する。 カプセルはあと、20機はある。 組み合わせを考えて、目覚めさせねばならない。 科学者達の計算は間違っていて、あと20光年は40年ではない。 実際の航行には、計算上にはないトラブルが、たくさん起きるのだ。 だから、地球に到着するまで、おそらくは、まだ100年はかかるはずだ。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

245人が本棚に入れています
本棚に追加