プロジェクト・オリジン

1/2
前へ
/11ページ
次へ

プロジェクト・オリジン

「私達の祖先は地球人です。」 学校に入ると、真っ先に学ぶ事だ。 『スコルピア』と呼ばれている、昴の住んでいた星は、地球ではさそり座、という名前で呼ばれているのだそうだ。 地球では、自転周期が約24時間だ。 そのため、『スコルピア』も24時間を1日として換算している。 実際のスコルピアの自転周期は、地球時間でいうところの23日だ。 つまり昼が11日半、夜が11日半、あることになる。 ある時、地球では様々な災害が起こり、それが、何を意味しているのか、原因は何なのか、確認する間もないまま、一部の人間が地球を脱出することになった。 それが、無事に『スコルピア』に辿り着き、今に至る、というその話は、スコルピアに住む者なら誰でも知っている話である。 穏やかで、争う事を好まないのが、スコルピアの人の特性でもある。 だから、戦争などで人口を減らされることもなく、平和に暮らしていた。 ところが…である。 ここ最近、数世紀に渡って、徐々に寿命が短くなっていることが分かった。 聡明な研究者達の、永きに渡る熱心な研究で、ごく最近、やっとその理由が判明したのだ。 その理由は、DNAの変性、によるものだった。 最初は、そもそも幾人かの地球人から始まったこの星での生活である。 何度も、世代交代をすることを繰り返すことで、それは、まるでコピーを繰り返すように、少しづつ、少しづつ、劣化を繰り返していった。 そして、コピーを繰り返したら、気づいたら、元の原稿が分からなくなるように、昴達、スコルピアの人達も、変性していたのだった。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

245人が本棚に入れています
本棚に追加