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プロジェクト・オリジン
「私達の祖先は地球人です。」
学校に入ると、真っ先に学ぶ事だ。
『スコルピア』と呼ばれている、昴の住んでいた星は、地球ではさそり座、という名前で呼ばれているのだそうだ。
地球では、自転周期が約24時間だ。
そのため、『スコルピア』も24時間を1日として換算している。
実際のスコルピアの自転周期は、地球時間でいうところの23日だ。
つまり昼が11日半、夜が11日半、あることになる。
ある時、地球では様々な災害が起こり、それが、何を意味しているのか、原因は何なのか、確認する間もないまま、一部の人間が地球を脱出することになった。
それが、無事に『スコルピア』に辿り着き、今に至る、というその話は、スコルピアに住む者なら誰でも知っている話である。
穏やかで、争う事を好まないのが、スコルピアの人の特性でもある。
だから、戦争などで人口を減らされることもなく、平和に暮らしていた。
ところが…である。
ここ最近、数世紀に渡って、徐々に寿命が短くなっていることが分かった。
聡明な研究者達の、永きに渡る熱心な研究で、ごく最近、やっとその理由が判明したのだ。
その理由は、DNAの変性、によるものだった。
最初は、そもそも幾人かの地球人から始まったこの星での生活である。
何度も、世代交代をすることを繰り返すことで、それは、まるでコピーを繰り返すように、少しづつ、少しづつ、劣化を繰り返していった。
そして、コピーを繰り返したら、気づいたら、元の原稿が分からなくなるように、昴達、スコルピアの人達も、変性していたのだった。
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