Prolog

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ゆっくりと目を覚ました(すばる)は、眠っていたベッドから身体を起こした。 窓の外には、天気の良い景色が見える。 昴は、ベッドの脇のデスクにある、タブレットにそっと手を触れた。 軽い起動音がして、『昴さん、おはようございます。』と女性の柔らかい声が聞こえて、にこやかな笑顔が画面に映し出された。 昴はそれに向かって、微笑みかける。 「おはよ。眠っている間には、何か、あった?」 『いいえ。特には何もありません、昴さん。』 「そう…。真珠(しんじゅ)は?」 『お目覚めになっていません。』 「そうか…。」 『お食事がダイニングにご用意してあります。』 「衣舞(いぶ)、ありがとう。」 『いいえ。昴さん。』 少しだけ、考えて、昴は窓にそっと手を触れた。 本当の、窓の外の景色に切り替えたのだ。 窓からは先程までの、天候の良い光景ではなく、一面の夜空が見えている。 夜空、ではない。 正確には、どこまでも続く宇宙の光景、だ。 昴には、それが動いているのか、止まっているのか、すら分からない。 これが、本当の窓の外の景色だ。 ここは、宇宙を旅する宇宙船の中なのである。
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