プロローグ

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プロローグ

昔は、御伽噺のような恋愛に憧れた。 私にも私だけを愛してくれる王子様がいて、そんな王子様がいつか迎えに来てくれると夢を見ていた。 それが馬鹿な考えだと気づいたのは、いつ頃だっただろう。 ────嗚呼、 「お父さんっ、お母さんが……っ」 「……後のことはこいつに任せなさい。私は仕事に行かなければならない」 「お前の新しい“お母さん”だ」 「どうして……」 あの時だ。 あんな恋物語は所詮作り話だと知った。いや、漸く現実に気づいたと言うべきか。 いつしか私は恋愛に夢を見なくなり、結婚なんてものにも興味はなくなったのだ。
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