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週末を課長と過ごして今日は月曜日。
一旦、5階の自分の部屋に戻り、身支度を整え再び課長の待つ6階へ。
な、なんか…
げ、月曜の朝から慌ただしいのは気のせいか?
エレベーターを使わず非常階段を駆け上りながらそんなことを思う。
「か、課長…、用意で、きましたか?はぁ、はぁ…」
「当然。ネクタイ以外はね。」
5階からのダッシュで息も絶え絶えな私とは対象的に、涼し気な顔してニヤリと笑いながら課長が言う。
まぁ、そもそも、私が飯山くんのネクタイを直してあげたことがきっかけでこの週末、課長の部屋へお泊りすることになった訳だけど。
「私の事、待ってる間に自分で直せますよね?」
私がそう言うと、
「ああ、そっか。全然、思いつかなかったわー。」
棒読みで返された。
「もう…」
向かい合い大して曲がってもいないネクタイを整える。
やっぱり弟のように思っている飯山くんとは違ってドキドキする。
課長ってこうしてみると本当に格好いいから困る。
なんとか平静を装いつつ課長に伝える。
「はい、これでバッチリです。」
「サンキュ。」
「っ、ぅわお。」
軽いキスを一つされ、思わず後退る。
「ごめん、驚かせた?急はまずかったな。ほんと、ごめん。」
咄嗟に心配顔になる課長になんだかほっこりする。
大丈夫。
この気持ちを私はもう知っている。
「大丈夫です。ただーーー」
「ただ?」
「今日も私、恋してるなって。」
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