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火曜日の朝はうちのデパートでは立ち上がり日で、催事にしても何かのイベントにしても火曜日がスタートとなる。
つまり火曜日にスタートして次の月曜日が一週間の締め日となる。
そんな火曜の朝、早速、外商部には外線から幾つかの問い合わせが入っていた。
こういう事はよくある事だけど、今日に限っては特別だ。
それは今日から北海道物産展が始まったからだ。
デパートの催事で最も売上げが取れると言っても大袈裟じゃない北海道物産展。
きっと催事場は平日だと言うのに今頃、人でごった返しているだろう。
うちの課のメンバーも数人が早速動き出した。
恐らく物産展に出店されている商品を幾つか用意して顧客へ持っていくのだろう。
大抵は全てお買い上げとなるのだけれど。
バタバタとした午前中が過ぎていき、時計を見ると正午を指していた。
デスク上を片付け、洗面所で手を洗ってくるとお弁当を広げる。
外商部の殆どの人は社食か出先で外食の為、部内は閑散としている。
私はいつもここで一人でお弁当を食べるのを日課としている。
年々、同期も減っていき同じ部内の女子社員と折り合いが悪い訳では無いけれど、そこそこ年のいったお局が昼食に加わったのでは気を使わせるばかりで申し訳ないし。
それに料理は嫌いではない。
うちは共働きだった為、子供の頃から料理をする事が多かった。
なので節約と健康の為と毎日、お弁当を作るようにしている。
「いただきます。」
手を合わせて小さめの声で遠慮がちに言いお弁当の蓋を開ける。
「ふうん、中々旨そうじゃん。彼氏にも飯、作ってあげたりするの?」
「ひっ。」
「ひっ、って何それ。」
背後から降ってきた声に振り向くと住吉課長が立っていた。
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