星降る夜に

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 少し標高の高いところにある『月の村天文台』には驚くほどたくさんの車が来ていて、〈スターウォッチング〉の会場は持ち寄ったブルーシートで一面覆いつくされていた。参加者の多くはそこであおむけに寝転がって、流星群を見るのだ。  隣の広場にはまるでバズーカ砲のような巨大な望遠鏡が幾つも空に向けて並べられていた。天体観測というよりは、襲来する宇宙人を撃退しようとしているみたいでわくわくした。  かくいう僕の父もまたバズーカ砲の砲手の一人で、嬉々として望遠鏡を設置すると、顔見知りと思しき人々と楽しく談笑を始めた。  本格的に流星群が見え始めるのは夜も八時を過ぎてから。〈スターウォッチング〉の会場には地元の商工会が設けた飲食部ブースもあり、特設ステージでは著名人を招いての講演会やトークイベントが開催されていた。しかし著名人といっても天体観測の世界での話だから、僕が見ても面白いものではなかった。
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