星降る夜に

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 大学進学に際して、僕は東北にある国立大学を志望した。  そこには天文学を学べる学科があるというのが、一番の理由だった。  あの夜、たまたま父に連れられてふたご座流星群を見に行った結果が僕の人生を大きく変えた。その後の人生の中でも、それ以上に僕のターニングポイントとなった経験はなかったから、必然的に僕は天文学を学びたいと思うようになっていた。  もちろんそこには、もしかしたらまた彼女に出会えるんじゃないかという希望がなかったと言えば嘘になる。  天文学を学べる大学は日本中探しても数えるほどしかない。もし遥がその後も星を学びたいと思っていたとするなら、同じ大学に進学する可能性は大いにあった。  しかし結果から言ってしまえば、僕は大学の四年間、一度も彼女を見つける事はできずに終わった。
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