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〈スターウォッチング〉というイベントに父に連れて行かれたのは、中学二年生の十二月のことだった。
同じ県内にある『月の村天文台』で毎年開催されるイベントで、毎年十二月五日頃から十二月二十日頃にかけて出現するふたご座流星群を観察するというイベントだった。
父は自前で望遠鏡を持つほど天体観測を趣味にしていて、時々こういったイベントがあると一人で参加していたのだけれど、その年は半ば強制的に僕も連れて行かれる事になった。
僕は当時、不登校児だった。
中学二年に上がり、新人戦が終わって先輩たちが引退するというタイミングで部活内でいざこざが起こり、あおりを食う形で僕は学校に行けなくなってしまった。それだと出席日数の関係で高校にも行けなくなるからと諭され、なんとか保健室登校を始めたぐらいの頃だったと思う。
すぐ帰ってもいい。教室には行かなくてもいい。それでも登校だけはして欲しい。
何度言われても、そこに僕の気持ちや僕の都合は関係ないように感じられて、言われれば言われるほど心が冷めていったのを覚えている。
そんな風に僕は毎日をほぼ家の中で過ごすような生活を送っていたから、気分転換にと父が誘ってくれたのだ。当時の僕は天体観測になんて全く興味はなかったけれど、半ば父を憐れむような気持ちで頷いた。
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