序章 対極にいる者達の出会い

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序章 対極にいる者達の出会い

 時は中世。舞台はヴォクシーノア王国。プラネット・ヴァグランの北半球の南側に建つ国。王族を頂点とし、貴族、平民、最下層の順で身分がきっちりと分かれている。  ここは、四つの円形の層に分かれている。国の一番外側を最下層、その次が普通層、国の中心付近には貴族層が。王族を守るかのように配置されている。国の中心部には王族が暮らす、通称〝核〟が存在する。  それぞれの層から出て別の層にいくには、ガードと呼ばれる層の門番に、通行証を見せなければならない。通行証とは掌に乗るくらいの紐付きの木製のバッヂ。紐の本数で身分が分かれている。最下層一本。平民二本。貴族三本。王族四本。といった具合に。この国を訪れた旅人には紐のついていない木製のバッヂが渡され、国を出るときに返却する決まりとなっている。  最下層民から平民までは、通行証を使っても、貴族層や〝核〟に単独で入ることはできない。ただし、王族や貴族がその場にいるなら、通ることができる。  逆に、貴族は王族以外の層に自由に行き来ができる。王族はすべての層に行き来ができるが、最下層にいくことは忌み嫌われている。  旅人は例外で、どこの層でも行き来ができる。  この国で異彩を放つのは、普通層にある全王国民(一六歳から一八歳までの男女が身分問わず)に入学を義務づけているヴォクシーノア王立武術学校。  王族と上流貴族のみで一クラス。下級貴族で一クラス、数が多い平民は二クラス。最下層民は入学している者が少ないため平民と同じクラスに混じる。しかし、手違いにより、貴族のクラスに最下層民が一人紛れ込んでしまった。それに誰も気づかないまま、手続きは粛々と進められた。
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