アキコ

3/3
前へ
/10ページ
次へ
相変わらず茹だるように暑い。 クーラーも付けてるけど。このボロ機械、前の住人ので調子悪いのだ。 だから音のわりにはなかなか冷えないし、専ら扇風機に頼るしかないってわけ。 年々暑くなる地球に、順応しにくくなってる気がする。 ――したたる焦が、服の下を流れて気持ち悪い。 「ね。アキコぉ」 「うるさい、黙って課題しなよ」 夏休みは少ないのだ。 くだらない話に、時間を割いているヒマはない。 だけど彼女は相変わらず、パソコンを覗き込んでばかり。 どうやら動画でなく、なにやらサイトを見ているらしい。 「……アキコの地元、F県だよね?」 不意に訊ねられた。 生返事に近く『あぁ』だか『んん』だか返すと。 「今度【ここ】行ってみない?」 ニンマリと笑ったエリコが、ノートパソコンの画面をこちらに向けてくる。 「なにこれ」 黒やら赤やら白やらの、おどろおどろしい配色。 やはり『その手』のサイトらしい。 そこには白い太文字である事が書かれていた。 【F県O市、一家惨殺事件跡……呪われた家】
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加