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これが……恐怖。
焼け付くように本能が叫ぶ。
『死ぬぞ』と。
「や、やめて、来ない、で……」
私があとずされば、彼女が奇妙な仕草で這ってくる。
ずるり、ずるり、ぬちゃり、ぐちゃり。
水音が混じった。
「っ、ひぃッ!!!」
足を――掴まれた。
必死でばたつかせるけど、離れない。痛みを感じるほど、きつく握られる。
爪を立てられたらしい。
「ぃ、いぃっ!?」
そして気がつけばあたしの上を、彼女が這いずっていた。
長い髪が、血まみれの手が。
声すら上げられない。
耳に入る荒い息は自分のか、彼女のものか。
「……み゙ぃづけたぁ゙ァァァ」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
『女』が、大きな口で、笑った――。
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