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「朝比奈くん…?大丈夫ですか?」
不意に頭上から声が聞こえる。
あの日とは違う穏やかな声。
見上げると、心配そうにこちらを見る芸術品のような顔。
「大丈夫です」
自然と口から漏れた言葉に、安心したように笑う姿が、いつか見た光景と重なって。
「これ、よければ使ってください。目元、冷やしたほうがいいですよ」
そう言ってひやりとしたものが瞼を覆う。
1分1秒でも目に焼き付けたかったこの人の姿が遮られて少し残念に思った。
「そういえば、本題を忘れるところでした。冷やしながらでいいので、聴いていただけますか?」
「…はい」
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