「ーーー気がつかなかったのか、自分が笑っていた事にも」

2/55
前へ
/183ページ
次へ
桜舞い散る四月が終わりを告げ、風薫る五月が訪れた今日この頃。 退屈極まりないテストが終了したその足で、もはや自らの城とかしている第2図書館に来ていた。 第3図書館と違い、第2図書館は最先端の技術でカードキーとそれぞれが設定した暗証番号を持つものしか入れない仕組みになっている。 「疲れた……」 ピピッという音とともに、扉が開きゆっくりとした足取りで中へ入る。 明日からはゴールデンウィーク。 やはり、ここに来るものは誰もいないようだ。 軽く辺りを見回して誰もいないことを確認すると、一直線に受付カウンターへ向かう。 ふかふかのソファ。小さな簡易冷蔵庫。各図書館や学園の主要な場所が映し出されるモニター。暇つぶしに必要な本は、この場所には数え切れないほどある。 「ほんっと、贅沢だよなぁ」 この設備は。 戯れにモニターを眺めながら呟く。 門付近には、1週間の休みを満喫すべく、生徒たちが乗る車が列をなしていた。
/183ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1282人が本棚に入れています
本棚に追加